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排除【はいじょ】

★排除戦略の第一手は正解。ところが、リベラル排除で手が滑る


  「排除」がなければ200超、なんて声もありましたが、票の出方を見る限り、それはちょっとモりすぎだったようですね。200超の根拠は、元々、都議選での圧勝ぶりで、その三大要素が揃うことが暗黙の前提だったわけですが、そこから見ていくと、「排除」は必ずしも誤りとは言い切れません。


 三大要素の二つ目、②民進党の惨敗から考えてみましょう。都議選では、自民党の負けっぷりに報道は集中しましたが、それよりもひどい負け方をしたのは、民進の方でした。そしてついでに維新も。ここから出た保守不満層の受け皿を独占できたことが、都民ファーストの積極的な得票を支え、そこに自民の批判票という消極的得票が公明票とともに加わったかたちです。ここまで民進が負けたのは、簡単に言えば蓮舫-野田体制の不人気ぶりが原因でした。


 人気とりに蓮舫を代表に据えたのはいいですが、それを支えた出身派閥は野田グループです。野田は、時に「自民党野田派」と揶揄され、あるいは「獅子身中の豚」とネットでは怨嗟の声を集めと、保守系以外の支持層からは最も嫌われた存在でした。それを幹事長にしたんですから、票が逃げるのは当然です。


 実際、野田に1万票取らせれば全国で10万票減る、野田一人当選させれば全国で10人落ちるとばかりに、むしろその存在を上手に逆用してきたのは自民党の方でした。千葉4区の自民候補の得票率を見ると、その気で泡沫候補を当てるという「逆刺客戦略」で、連続当選を側方支援してきたとの指摘も納得がいきます。今回の選挙でも、立憲民主党を次なる敵と想定してか、「トロイの木豚」はダブルスコアで温存されました。


 この野田と、ネトウヨの徹底攻撃で支持層右派からの不人気ぶりが突出する菅、この左右不人気ツートップを抱え込まないために、「総理経験者にはご遠慮いただく」ことにした排除戦略の第一手は、大正解でした。ところが、次の一手、リベラル排除で上手の手が滑りました。


 ただこれも、部分的には無理からぬところがあります。「名を捨て実を取る」と言って合流路線を打ち出した民進の前原代表でしたが、それにもやはり表裏がありました。外に向けては、民進の名を捨てて政権交代という実を取ると説明しましたが、内に向けては、どうせ地盤と経験で勝る民進系が当選議員の過半を占めるから、選挙が終われば希望を乗っ取れるという言外のメッセージが込められていました。


 この思惑を外し、かつ民進の負のイメージを引き継がないためには、小池の言葉を借りれば「リセット」、具体的に言えばリベラルの切り捨てが必要と考えたわけです。これも、政権奪取を前提に民主党政権の崩壊過程を振り返れば、左右股裂きを回避する上で必要なことです。しかし、民進が持っていたリベラル票を過小評価したのが間違いでした。



文・土屋彰久(政治学)   2017.10.24