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小池劇場【こいけげきじょう】

★公明党との連携から見えてきたもの


 小池百合子都知事、勝負師ですね。それもトリッキーな奇手、鬼手を連発してくるタイプの。たとえば、都知事選出場の際には、権限上、単独では不可能な都議会解散を公約に掲げ、「こいつバカか?」と油断させたり、「え? 権限ないのにどうやって?」と注目を集めてみたり、まんまと敵を術中に陥れました。しかし、「策士、策に溺る」というように、勝負手を連発していくと、そのうち右足で左足を踏むが如く、勝負手同士の矛盾が発生する危険性も高まります。今回の衆院選は、その典型となりました。


 都議選での圧勝を支えたのは、①公明党との連携、②民進党の惨敗、③錯覚商法の三大要素で、衆院選で勝つには、できる限り、その構造を再現する必要があります。①公明党との連携は、特に小選挙区中心となる衆院選では、自民-1希望+1で、固い公明の組織票分で二倍の効果が発生しますので、効果は絶大です。そこで放った勝負手が、なんと公明党の山口代表首班指名の可能性です。これ、自民党が立憲民主に対抗して共産党の志位書記長を首班指名するというのと構造的には同じですから、どれだけ無茶な話かわかるでしょう。でも、そこには勝負師らしい二重の仕掛けがありました。


 一つは、表からの籠絡です。希望の党発足時は、200議席越えとはやされ(はやさせ?)ました。これに公明が乗れば過半数が視野に入ります。そうすると、公明党から初の総理大臣が誕生と、ちょうど自民が総理の椅子をエサに社会党を引きずり込んで政権を奪還した自社さ連立と重なる形で、希望は最大議席で政権党、公明は小勢力で首相ポストと、それぞれが大きなウィン-ウィンを手にします。これに、山口那津男代表も一時は悪くないそぶりを見せましたが、どこからか強烈なブレーキがかかったようで、山口首相誕生の夢は幻と終わりました。


 ただ、裏の狙いは残っていました。小池都知事は、公明党にとっての最強の選挙マシンと言われる婦人部組織と、これまでにほぼずっと現場を共にしてきました。新生党時代からですから、公明党の議員以外では最も長い蜜月関係です。この婦人部の人気を見ると、山口代表は絶大ですが、安倍首相はいまいち、そして自分はかなりの人気です。つまり、婦人部に人気の自分が山口代表を持ち上げれば、実働部隊である婦人部の自民党応援の動きが鈍るという計算です。


 ところが小池知事、自分で掘った穴にはまってしまいました。政権選択の選挙とぶち上げ、満を持しての出馬のはずでしたが、どうも風向きが芳しくないと見て出馬を見送り、都知事の座にとどまりました。そして、首相候補は空席のまま、というか、山口代表のままです、発言の上では。自民が勝てば安倍政権、希望が勝てば山口政権? 希望に好意的だったメディアはそこまでは突っ込みませんでしたが、「政権選択」の構図を自分でぶち壊したかたちとなりました。


文・土屋彰久(政治学)   2017.10.23