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リーマンショック級【りーまんしょっくきゅう】

★どんな級なのか、アベさんといっしょにおさらいしよう。


  消費増税再延期を判断する上での例外的事情のたとえとして安倍首相が繰り返していた「リーマンショック級の危機」。実際には、「内需を腰折れさせかねない」という、各方面から言われ続けてきた懸念を自分の口から繰り返しただけで、公約破りの再延期となりました


 そもそも、どの世論調査でも再延期賛成が一貫して過半数と、「破った方が喜ばれる」という珍しい公約だったので、一番気にしていそうな支持率にはプラスの影響があったようです。とは言え、それまでバカの一つ覚えのように、しかも再延期表明の直前まで「リーマンショック級」を繰り返してきた理由は、「バカだから」以外に何かあるのか、それを明らかにせずして、首相としての説明責任を果たしたとは言えないでしょう。


 「リーマンショック級」という物言いを巡って無駄に消費された電波、活字、労力、等々、その経済的損失はいかほどのものかとも思ってしまいますが、本家リーマンショックのインパクトを考えれば、首相の食言と同様、毫毛にも及びません。ほんとは、過去でも何でもないんですが、一応過去のものとして扱われているリーマンショック、その実体はどのようなものだったのでしょうか。


 リーマンショックは、当時、全米第4位だった大手投資銀行(日本だと証券会社に相当)リーマン・ブラザースが2008年9月に破綻したことをきっかけに世界に広がった経済危機の通称です。たとえば日本では、リーマン破綻前には12,000円あった株価(日経平均)が、一カ月半ぐらいで7,000円割れの水準まで売り込まれました。


 リーマンの破綻は、単独発生したものではなく、一年ほど前から表面化していたサブプライムローン問題ともつながっています。ただ、この二つの関係は、単純な因果関係でつながっているわけでもありません。むしろ、両者に共通する原因として、当時の日本の金融政策が指摘されています。


 その頃日本は、小泉政権の下で緊縮財政の景気冷却作用を金融政策で中和するような形で、ゼロ金利政策→量的緩和政策と、投資資金をジャブジャブと供給していました。ところが、緊縮財政で内需が冷え込んでいるために国内では資金需要が乏しく、これが金利差からアメリカに渡って巨額の投機資金に化け、サブプライム問題の原因となる住宅バブルやリーマンの急成長を支えたハイリスク経営の資金源となりました。


 アメリカの最先端の金融工学は、アメリカの無規制状態と日本の巨額資金を利用し、バブルを可能な限り延命・拡大させた結果、破裂の衝撃も甚大なものとなりました。そして、リーマン・ショックへの対応で投じられた資金は、次の償還のタイミングでユーロ危機を起こし、といった具合で、実はまだリーマン・ショックは終わっていません。

文・土屋彰久(政治学)