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野党共闘【やとうきょうとう】

自民党が利益を独占している小選挙区制を廃止する選挙制度改革で共闘すべし


  2016年7月の参院選、野党共闘の成否は二重の意味で大きな焦点となりました。一つはもちろん、共闘の成果がどの程度のものとなるのかという話ですが、それ以前の問題として、そもそも保守政党の民進党が共産党と共闘できるのかという入り口の話も大きな問題でした。結果的には、32の一人区全てで野党共闘が成立したという点で、まず入り口の問題はクリアとなりました。そして肝心の成果でしたが、野党側から見て11勝21敗とかなり微妙な結果となり、評価も分かれています。


 11勝21敗というのは、数字を見れば、ほぼダブルスコアの負けです。とは言え、2勝29敗という前回の惨憺たる結果に比べれば、かなりましですし、共産党から見れば、保守政党との初の本格的共闘としては、まずまずの出来と言ってよいでしょう。対して、民進党内の共闘反対派からは、否定的な評価が出されています。実際、過去の共闘を見ると、総評と同盟という二大労組の合流により連合が発足し、その連合が仲立ちとなって社会党と民社党の事実上の共闘となる「連合型選挙」が展開された1989年の23勝3敗という成功例もあり、比べものにもなりません。


 また、前回は小沢グループの離党に加え、みんなの党、日本維新の会と、保守野党が四分五裂状態あったことを考えれば、維新の党との合流により保守野党第一党の座を確保できた今回の議席回復は、民進党にとって自力回復の範囲内と見ることも可能です。(共闘で得た票と逃げた票を同じ程度と見て)


 民進党で共闘を進めた岡田前代表は、選挙戦終盤というか、投票日直前になって9月の代表戦不出馬を表明し、「この期に及んで敵前逃亡か?!」と非難を浴びもしましたが、芳しくない結果予想の数字を見て、事実上の引責辞任を先行させたということだったのかもしれません。これに対して共産党は、党内の不協和音が表面化しにくい体質とは言え、もろ手を挙げての歓迎ぶりで、これからも共闘にノリノリといった感じです。かつて、数多の首長選で社会党との共闘を拒み、自民党に漁夫の利をプレゼントし続けていた頃とは、隔世の感がありますが、ここまでの右シフトを古参党員にどう説明するのかと、他人事ながら気にもなります。


 今回の共闘が、今ひとつ盛り上がらなかった要因は、いくつか指摘できますが、一言で言えばスジが悪いという印象です。民進党は、元々イデオロギー的に保守改憲派で、今回も表向きの争点を実質的に改憲阻止に設定するにあたって、歯切れの悪さが目立ちました。本来、スジの良い共闘の争点としては、自民党が利益を独占している小選挙区制を廃止して比例代表制に移行する選挙制度改革が第一候補なのですが、当の民進党が小選挙区制にこだわっていることが、何よりの障害となっています。この壁を越えられない限りは、自民党の代替勢力ではなく、補完勢力たる保守第二党が関の山でしょう。



文・土屋彰久(政治学)